ホーニング加工とはホーン仕上げとも言います。ラップ仕上げ、超仕上げなどと共に表面仕上げ方法の一種で、その中でも円筒内面を加工する方法として発展してきました。
 加工方法は、円柱状のホーンと呼ぶ工具に砥石を付け、ワーク円筒内部に砥石を適当な圧力で押し付けて回転運動と往復運動を与え、研削液を注ぎながら表面仕上げを行う方法です。

▼ホーニング加工の用途

エンジン、油圧、空圧等のシリンダー内面やドラムブレーキの内面用です。
主に円筒材の内面仕上げ、継ぎ手、摺動(シュウドウ)面などの精密加工に使用します。

▼ホーニング加工の特徴

ホーニング加工の回転、往復運動により生じる交差状のクロスハッチ模様が、製品使用時の油溜まりとなり、潤滑油、摺動性をよくする。
内面研磨等の加工法に比べて、研削能力が遥かに高く能率的である。
小径長尺であっても加工できる。
高精度な加工でも簡単な機械構造でも表面精度、加工寸法精度(円筒度、真円度)が高く管理しやすい加工方法である。
表面精度の高い仕上がり面は、加工変質層、熱変質層が少なく耐摩耗性に優れている。


▼ホーニング砥石の選定

 ①砥粒 ワーク材質に合わせて砥粒を選択します。
  WA・C・GC・SD・CBN
 ②粒度 加工の粗さにより選定します。
  一般砥粒(WA・C・GC)  #60~#6000
  超砥粒(SD・CBN)     #60~#10000
 ③結合度 砥粒1刃に掛かる負担が大きいので、強固に保持する結合度が必要ですが、目詰まりが起きやすい為、一般的にG~Kが使用されます。 
 ④処理 砥石結合度を下げ、切れ味を良くし、加工時の欠けや折れに対する強度を処理によって補強します。
  ●硫黄(S)処理
硫黄処理は、研削能力の低下が殆どなく耐久性が良くなります。
欠点は腐食性がある事と、研削液に溶解して液の寿命を短くすることです。
  ●ベーク(B)処理
砥石を樹脂コーティングする事により耐久性を良くし、目こぼれ対策としても用いられます。
欠点は目詰まりの発生度合が高いので、作業条件を合わせるのが難しいことです。


 近年では超砥粒化が進み、特に小径用は一般的に使われるようになりました。研削性、耐久性が良く生産性が向上します。
 ホーニング加工の場合、メタルボンドが最も多く使用され、研削と切削の中間的なイメージで一般砥粒の砥石より高速度、高圧力で使用されています。



▼メタルボンドCBN、SDの利点と欠点

◎利点

長寿命の為、砥石交換が少なく稼働時間が長くなり、生産性が向上する。
無人運転などの省力化が図れる。
砥石切り粉と加工物切り粉が、同じマグネットフィルターで処理できる。
ホーニング加工時の音が軽減される。
一般砥粒では刃が立たなかったり、著しく加工能率が劣るものであっても研削が容易である。

◎欠点

加工コストに占める砥石コストは、一般砥石に比べて増加する場合が多い。
一般砥粒の研削に比べて加工物表面がムシれ易く、加工変質層が現れることがある。
加工初期の加工物形状になじみにくい為、深いキズをつけ易い。
高回転、高圧力の加工条件であるため、機械剛性の高い機械が必要である。