▼研磨材とは

 加工物(ワーク)を切る・削る・磨く物であり、硬い砂もしくは粉の事で“砥粒”とも言います。

 古くから、ガーネットやエメリーなどの天然鉱物を使ってきましたが、現在では、人造研削材が主流となっています。



▼研磨材の歴史

 天然砥石を粉砕し、研磨材として使用することは太古の昔より行われていました。
また、鉱物で硬い砂や石は研磨材として使用されていました。  

 鉱物で硬い砂といえば、宝石がそれにあたります。  

 研磨材として使用されている代表的な宝石には、柘榴石(ざくろいし・ガーネット)、ルビー、 ダイヤモンドなどがあります。  
 当社大和製砥所の所在地、奈良県香芝市の二上山山麓は、柘榴石の産地として知られています。  

 柘榴石は別名“金剛砂(こんごうしゃ)”といい、研磨業界では今でもその名で呼ばれ続けています。
この金剛砂は太古の昔、火山活動によって柘榴石が地表に出て風化し、砂となったもので、天平の頃には、金剛砂を用いて玉石を磨いたという記録が残っています。
剣や鏡の研磨材は、大粒のものは装飾品として貴族に珍重されてきました。  

 明治初期、楮紙(こうぞがみ:和紙)に膠(にかわ)を塗って金剛砂を接着した研磨紙が作られていましたが、現在では人造研削材の普及により、採掘量やコスト面で採算が合わなくなり、採掘されなくなりました。

 鉱物が研磨材として使われた理由は、とても硬い物質で砂状だったからです。 (※右写真:金剛砂拡大画像)

 現在使用している研磨材の殆どは人造研削材で、1881年アメリカのアチソン氏がカーボランダムを発明、1895年(明治28年)にカーボランダム社により工業化され、人造砥粒(C砥粒)が製造されました。
1897年アメリカのジャコブス氏が人造コランダムを発明し、1901年にノートン社により工業化され、アランダム(A砥粒)として製造されました。
 
わが国では炭化ケイ素が1917年、人造コランダムが1918年に鹿児島電気軌道株式会社(旧・日本研磨材工業株式会社の前身)において製造されました。




▼鉱物の硬度


鉱物の硬さをモース硬度を基準として下表の通り表す事ができます。
このモース硬度の「モース」は、19世紀ドイツのフリードリッヒ・モースに由来しており、こすりあわせた時に傷をつけるか、つけられるかを比較したもので、叩いて壊れるかどうかの比較ではありません。
 硬度 鉱物名 
滑石 (かっせき)
石膏 (せっこう)
方解石 (ほうかいせき)
蛍石 (ほたるいし)
燐灰石 (りんかいせき)
正長石 (せいちょうせき)
溶融石英 (ようゆうせきえい)
水晶
黄玉 (おうぎょく)・トパーズ
10 柘榴石 (ざくろいし)・ガーネット
11 溶融ジルコニア
12 溶融アルミナ
13 炭化ケイ素
14 炭化ホウ素・ボロンカーバイト
15 ダイヤモンド
※人間の爪は約2.5、銅製の硬貨は約3.5、ナイフの刃物は約5.5です。